今回は旋盤工のかっこ良さについて書こうと思います。

まず補足説明として旋盤とは何か説明します。
簡単に言うと「金属を削る機械」です。

でかさは横幅150cm程度、高さは100cm程度、奥行きは50cm程度です。
まずチャックと言われる金属を挟む部位があり、バイト(刃)をつけるところがあります。
そこに金属を挟み、スイッチを入れると金属が回り、それをバイトで削ると言う仕組みです。
気になる方はネットで調べてみてください。

この旋盤は全て手で作業が行われ、コンピュータなどは搭載されていません。
NC旋盤という旋盤はコンピュータ制御され、プログラムによって加工が出来ますが。

旋盤工とは、この旋盤を操る職種の方のことです。

よくテレビで見ませんか?
「この職人は神の手を持っており、金属を0.0001mm単位で削ることが出来ます。」
とかいうやつ。

私は機械科出身ですので、旋盤、溶接、手仕上げ、等をいやと言うほどやりました。
なので、この旋盤の職人にかっこ良さを感じるのです。
例えば一般の方にとって、1mmというのはとても小さく感じるかもしれませんが、
機械に携わる者にとっては1mmという大きさは取り返しが付かないくらい大きいものなのです。

車のエンジンに使われるピストンがあるでしょう?
アレが設計よりも1mmでかかったとしますよ?コレはもう不良品です。
不良品なんて生易しい。1mmもズレちゃったら別製品ですよ、もはや。
0.1mmのズレで学生の作った不良作品。
0.01mmのズレでようやく不良品レベルです。

機械設計というのはそこまでシビアなのです。

ここで登場するのが旋盤工。それも熟練した職人と言われる、いや、云われる旋盤工。

彼らはNC旋盤を代表とするプログラミングで制御された旋盤ですら表現できない精度を
いとも簡単に叩き出します。

機械加工実習の授業で担当だった先生(非常勤)がまさにゴッドハンドを持つ職人であり
昔、務めていた工場(「こうば」と読みましょう)で旋盤に巻き込まれて
指を飛ばしたと言って見せてくれた左手には人差し指がありませんでした。

しかし、実力の程は確か。
俺らが「くそう〜なかなか上手く削れねぇ〜」などとマゴマゴしていると、やってきて
「この下手糞!どれ、かしてみれ!」と口は悪いですが満面の笑みでやってくれました。

俺らが30分かけても出せなかった精度を、
このおっさんは僅か20秒足らずで仕上げてしまうのです。
しかも彼らのすげぇところは、一切数値を見ないでやるところです。
旋盤にはどれくらい削ったか分かるスケールがついていますが、
このおっさん曰く「手の感触と見た目でどれだけ削ったか分かる」とのこと・・・。

この時俺はこの職人芸に圧倒されながらもこう思いました。
神様の左手には人差し指が無いのか!!!?」と。

こういった事情もあり、テレビで熟練職人旋盤工特集なんかをやっていると、
ついつい夢中になって見てしまうのです。いやぁ彼らはすげえカッコイイ!!

コメント

ブログ脳外科医
脳外科医
2006年2月17日1:58

脳外科医が手術するときに顕微鏡で見ている範囲は直径2cmほどの円内です.そこで使うバイポーラという道具の先端の太さは0.25mmほどです.マイクロ手術も目で見ながら指先で感じながらの作業です.旋盤のことはわかりませんが,どうしてスケールを見ないで0.01mm以下の精度を出せるのでしょうか?人間の能力って不思議ですね.

会長・改
会長・改
2006年2月17日18:05

削られた金属クズの飛び方が僕達と違うんですよ。まさに神業です!!

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